鍾馗と言えば、、、(番外編) [ART]
まだ鍾馗熱冷めやらないって感じですが、鍾馗と言えば、一つ思い出す事があります。
上海に駐在し始めた1993年頃、当時は結構ヒマだったので、通訳氏と、彼の新聞記者に勧められて、
延安路2200号にある「上海青少年児童出版所」なる所へ、漫画の件で相談に出掛けました。
そこで出会ったのは、科学関係の書物を担当する責任者の科長さんでした。
一般の学習モノから漫画まで、彼が責任者としてやっているそうです。
科長さんには、その新聞記者さんから話は行ってたので、こまが持っている作品の中から、宇宙を舞台にした
「月の輪コンフュージョン」を持参しました。それを通訳氏のがんばりで、中文に訳したモノをコピーして渡しました。
すると、「中国にはまだ少年漫画雑誌なるモノが無く、台湾から大きく離されているので、この感じの漫画を
載せて行きたい」と言う話が決まってしまいました。
暇を持て余していたこまは、二つ返事で引き受け、どんな内容が出来上がって来るのか楽しみにしていました。
所が・・・
待てど暮らせど、ストーリー原稿が出来たお話しが出て来ません。
その間に、こまの仕事もドンドン増えて、2年経った頃には、30のサービスセンターを一人で見ていたので、
上海に居る時間もドンドン減って行きました。
その2年が過ぎた頃、通訳氏から連絡が入り、「ストーリーが出来たので来て下さい」との事。
「えええええ、今結構忙しいからアカンかも知らんで」
と思いながら、取り敢えず一緒に出掛けました。
李科長、その温厚な容姿も曲者で、会ってしまうと断れなくなりました。
そこで、「結構忙しいので、原稿が滞る事の方が多いと思いますが・・・」と言う事を条件に引き受けました。
そして、その時生まれた作品が、中国の兵法三十六計を中心とした内容で進められる、未来版の三国志
でした。
「太空三十六計」
これがタイトルですが、意味は「スペース三十六計」って事で、三国志のSFモノでした。
そこに登場する友好国の隊長を、鍾 馗に似せて登場させたのでした。
ストーリーの本筋を逸脱しない限り、キャラクターデザインから舞台、メカ等の設定が全て自分で出来るので、
武将として鍾馗をイメージした人物を繰り出してみたのでした。
しかし、やはり忙しさはハンパではなく、事務所拠点も3ヶ所に増えて、関連業務もドンドン増して行く中、
出張先でも漫画の原稿を描くハメになり、もうコレではやって行けないと言う事で、科長には、丁寧に断る
事になったのでした。
なので、手掛けた頁は70頁だけ。
その後は、ローカルの作家に頼んだと聞いたので、どんな仕上がりか見せて貰うと・・・
ま、科長が仰ってた事からも、その悲惨さは見て取れたのですが、そんな時期があった事など、今の中国
漫画界を見ていると、欠片も感じられませんね。
その事をふと思い出したので、最近原稿をスキャナーで取り込んでみました。
ネーム(吹き出しの台詞)は中国語ですが、時間を見て日本語にもしたいと思います。
原稿、まだ漫画の頁にアップ出来ていませんが、原稿をこちらにちょっとだけ載せておきますね。
(載せた原稿は繋がって無くて飛び飛びです。また、画像をクリックすると、別窓で大きい画像が観られます)
ドラマの舞台となる三つの星系。この三つの星系間で戦争が始まるという設定。
ドラマで悪役となる「黒天星系」へ、怪しげな船団が向かっているシーン。
大統領総府「黒天宮」へと降りて行く船団。
大統領たちの会議に乱入し、武力で制圧してしまう、黒天星系の軍事司令「猛天士」。
そして、謀反を企てた張本人「黒天女王」。
友好国凌波星系の若き君主「威天士」の駆る動物が「一角獣の犀」と指定されていた。
そこで、悩んだ末に生まれたのがこの「克雷鼓」だが、愛着が湧き「言葉を話す設定」にして仕舞った・・・
今見ると、ちょっと目が可愛過ぎたかも・・・
小学生が中心で、小中校生をターゲットと聞かされていたので、所謂漫画チックに仕上げた記憶が。
隊長登場の頁-1 。爆発音を聞き、威天士を心配して駆けつけた隊長。名前の設定無し。
「鍾公」の表現は鍾馗さんを意味し、目上の人を敬って呼ぶ時など、苗字に「公」を付けて呼ぶ事が多い。
隊長登場の頁-2。敵の不可解な行動に、その意図を考え倦ね苦悩する隊長。
隊長登場の頁-3。原作で指定された乗り物が「馬」じゃなくて「駱駝」で参った。
隊長登場の頁-4。営壘キャンプのテント内で読書する隊長。鍾馗の博学さを意識したシーン。
この辺り、ちょっと「手抜き感」が有るような・・・
隊長同様、飛来する金属甲虫の目的が理解できず苦悩する威天士が、心の師傅にアドバイスを乞うシーン。
師傅は既に「実像」ではなく、データバンク化された知識を電子スクリーンに浮かび上がらせた立体映像。
示唆しながら話しを進め、地球という星の古代中国の戦国時代に繰り広げられた戦法を見せる師傅。
三国時代のシーンが出て来て焦ったのを覚えている。仕事で派遣されたこまだったので、中国なんて
これっぽっちも興味なく、況してや歴史大嫌いの人間だった事で、現地でカット入りの書物を買いあさった。
多勢による突然の攻撃で、不意を突かれた北海城が落城に迫られ、困惑する北海太守(楼主)「孔融」。
対応しきれぬ将軍たちに渇を入れる太守だが、この悪戦況が変わろうはずも無し。
そこで、威天士似の当時の若き武将が、君主に妙案を提議する。
その内容「瞞天過海」を、ストーリー上で進めて行くシーン。
若き武将「太史慈」が弾いた矢の矛先は、果たして何処なのか・・・
当時は赴任して2年目だったと言う事で、中国語も日常会話がやっとこさって時期でした。
訳してくれた通訳氏も、日本語学習9ヶ月ながら強者でしたが、やはり経験値がないので、肝心な部分が
意味不明だったのは否めません。
でも、この文章を見る事で、場面毎に意味が理解できると言う「視覚的効果」も手伝って、言葉のレベルも
上がったのかも知れません。
あらら・・・ちょっとと言いながら19頁も載せちゃいました・・・
完結できなかった事がとても残念です。
完結してれば、中国の手塚治虫になってたかも・・・(^灬^;(ムリムリ)
尚、本作品は既に出版されておりますので、版権は上海青少年児童出版所にあります。
従いまして、勝手に転写や内容の利用等されますと、著作権等の侵害になりますのでご注意下さい
上海に駐在し始めた1993年頃、当時は結構ヒマだったので、通訳氏と、彼の新聞記者に勧められて、
延安路2200号にある「上海青少年児童出版所」なる所へ、漫画の件で相談に出掛けました。
そこで出会ったのは、科学関係の書物を担当する責任者の科長さんでした。
一般の学習モノから漫画まで、彼が責任者としてやっているそうです。
科長さんには、その新聞記者さんから話は行ってたので、こまが持っている作品の中から、宇宙を舞台にした
「月の輪コンフュージョン」を持参しました。それを通訳氏のがんばりで、中文に訳したモノをコピーして渡しました。
すると、「中国にはまだ少年漫画雑誌なるモノが無く、台湾から大きく離されているので、この感じの漫画を
載せて行きたい」と言う話が決まってしまいました。
暇を持て余していたこまは、二つ返事で引き受け、どんな内容が出来上がって来るのか楽しみにしていました。
所が・・・
待てど暮らせど、ストーリー原稿が出来たお話しが出て来ません。
その間に、こまの仕事もドンドン増えて、2年経った頃には、30のサービスセンターを一人で見ていたので、
上海に居る時間もドンドン減って行きました。
その2年が過ぎた頃、通訳氏から連絡が入り、「ストーリーが出来たので来て下さい」との事。
「えええええ、今結構忙しいからアカンかも知らんで」
と思いながら、取り敢えず一緒に出掛けました。
李科長、その温厚な容姿も曲者で、会ってしまうと断れなくなりました。
そこで、「結構忙しいので、原稿が滞る事の方が多いと思いますが・・・」と言う事を条件に引き受けました。
そして、その時生まれた作品が、中国の兵法三十六計を中心とした内容で進められる、未来版の三国志
でした。
「太空三十六計」
これがタイトルですが、意味は「スペース三十六計」って事で、三国志のSFモノでした。
そこに登場する友好国の隊長を、鍾 馗に似せて登場させたのでした。
ストーリーの本筋を逸脱しない限り、キャラクターデザインから舞台、メカ等の設定が全て自分で出来るので、
武将として鍾馗をイメージした人物を繰り出してみたのでした。
しかし、やはり忙しさはハンパではなく、事務所拠点も3ヶ所に増えて、関連業務もドンドン増して行く中、
出張先でも漫画の原稿を描くハメになり、もうコレではやって行けないと言う事で、科長には、丁寧に断る
事になったのでした。
なので、手掛けた頁は70頁だけ。
その後は、ローカルの作家に頼んだと聞いたので、どんな仕上がりか見せて貰うと・・・
ま、科長が仰ってた事からも、その悲惨さは見て取れたのですが、そんな時期があった事など、今の中国
漫画界を見ていると、欠片も感じられませんね。
その事をふと思い出したので、最近原稿をスキャナーで取り込んでみました。
ネーム(吹き出しの台詞)は中国語ですが、時間を見て日本語にもしたいと思います。
原稿、まだ漫画の頁にアップ出来ていませんが、原稿をこちらにちょっとだけ載せておきますね。
(載せた原稿は繋がって無くて飛び飛びです。また、画像をクリックすると、別窓で大きい画像が観られます)
ドラマの舞台となる三つの星系。この三つの星系間で戦争が始まるという設定。
ドラマで悪役となる「黒天星系」へ、怪しげな船団が向かっているシーン。
大統領総府「黒天宮」へと降りて行く船団。
大統領たちの会議に乱入し、武力で制圧してしまう、黒天星系の軍事司令「猛天士」。
そして、謀反を企てた張本人「黒天女王」。
友好国凌波星系の若き君主「威天士」の駆る動物が「一角獣の犀」と指定されていた。
そこで、悩んだ末に生まれたのがこの「克雷鼓」だが、愛着が湧き「言葉を話す設定」にして仕舞った・・・
今見ると、ちょっと目が可愛過ぎたかも・・・
小学生が中心で、小中校生をターゲットと聞かされていたので、所謂漫画チックに仕上げた記憶が。
隊長登場の頁-1 。爆発音を聞き、威天士を心配して駆けつけた隊長。名前の設定無し。
「鍾公」の表現は鍾馗さんを意味し、目上の人を敬って呼ぶ時など、苗字に「公」を付けて呼ぶ事が多い。
隊長登場の頁-2。敵の不可解な行動に、その意図を考え倦ね苦悩する隊長。
隊長登場の頁-3。原作で指定された乗り物が「馬」じゃなくて「駱駝」で参った。
隊長登場の頁-4。営壘キャンプのテント内で読書する隊長。鍾馗の博学さを意識したシーン。
この辺り、ちょっと「手抜き感」が有るような・・・
隊長同様、飛来する金属甲虫の目的が理解できず苦悩する威天士が、心の師傅にアドバイスを乞うシーン。
師傅は既に「実像」ではなく、データバンク化された知識を電子スクリーンに浮かび上がらせた立体映像。
示唆しながら話しを進め、地球という星の古代中国の戦国時代に繰り広げられた戦法を見せる師傅。
三国時代のシーンが出て来て焦ったのを覚えている。仕事で派遣されたこまだったので、中国なんて
これっぽっちも興味なく、況してや歴史大嫌いの人間だった事で、現地でカット入りの書物を買いあさった。
多勢による突然の攻撃で、不意を突かれた北海城が落城に迫られ、困惑する北海太守(楼主)「孔融」。
対応しきれぬ将軍たちに渇を入れる太守だが、この悪戦況が変わろうはずも無し。
そこで、威天士似の当時の若き武将が、君主に妙案を提議する。
その内容「瞞天過海」を、ストーリー上で進めて行くシーン。
若き武将「太史慈」が弾いた矢の矛先は、果たして何処なのか・・・
当時は赴任して2年目だったと言う事で、中国語も日常会話がやっとこさって時期でした。
訳してくれた通訳氏も、日本語学習9ヶ月ながら強者でしたが、やはり経験値がないので、肝心な部分が
意味不明だったのは否めません。
でも、この文章を見る事で、場面毎に意味が理解できると言う「視覚的効果」も手伝って、言葉のレベルも
上がったのかも知れません。
あらら・・・ちょっとと言いながら19頁も載せちゃいました・・・
完結できなかった事がとても残念です。
完結してれば、中国の手塚治虫になってたかも・・・(^灬^;(ムリムリ)
尚、本作品は既に出版されておりますので、版権は上海青少年児童出版所にあります。
従いまして、勝手に転写や内容の利用等されますと、著作権等の侵害になりますのでご注意下さい
うわー!UPしてくれて、ありがとうございます。
読めてうれしい!!
中文はわからないけど、絵でわかるぅ。
すごい!
福々しいおじさんたちがかわいい^^
スケールの大きいお話ですねぇ。
出版当時、この物語の展開にわくわくした子どもたちがたくさんいたんでしょうね。
by リル (2012-02-29 00:56)
>リルさん。
全部スキャナ完了したら、日本語にした分もexciteブログに載せる予定です。
話はホント直っかかりだけで途中までなんですけどね。
「瞞天過海」の結論を見て、問題に気付いた若い武将が戦場へ出掛ける所くらいまで。
この漫画、後は別の作家で続けて居たそうですが、その後どうなったかは未確認です・・・[きょと]
でも、国産漫画としては初めて見たタッチだったようで、期待してる子供が居たのは
確かなんです。その点は本当に気掛かりでした。
無責任に引き受けたのは良くなかったのかも知れません・・・[はぁっ]
今なら続き描けますよ~って言ってもアキマセンしねぇ~・・・[あせっ](タッチが古いし[・・・])
by こまちゃん (2012-02-29 03:51)