新疆喀什地区莎車県の都市改革設計に垣間見られる少数民族差別の根っこ

新疆喀什地区莎車県・莎車都市計画展示館で見たその計画は、中央政府が上海市政府に委託し推進させているもので、
かなり近代的且つ大掛かりなものだった。
中国の辺境地区の多くは、この様に中央政府によって割り振られた沿岸発展都市による開発推進が指示されており、
表面的な部分よりも、裏で田舎政府が色んな面で潤うのだろうが、その反面、私利私欲の暴走の煽りで、確実に苦悩を
強いられているのは、やはり一般住人だ。



イスラム郷土の土地に対しても、開発区と旧市街をいっしょくたにして、漢民族テイストで推進される都市化計画･･･
平和ボケした沿岸部の、しかも民族問題に対する実感が薄らいでいる都会の漢民族達に、イスラムの何が判るのか。
この計画館を見て、即座にそう感じてしまった。

国を挙げて少数民族問題を煽って何が楽しいのか･･･と、不思議でならない。
そしてその、脳ミソが足りていない中国政府に、怒りを通り越し、バカと言う言葉が口を吐いた。


この先に有った入口には、無意味なほど大きくてラウンドした紹介看板が立っていた。

都市計画を紹介する館として、都会レベルの規模を呈している気がした。
館内の案内人員には、とても美形の維吾爾女性コンパニオンがセッティングされていたが、彼女のその完成された
容姿よりも、彼女が話す美しい普通話に驚かされた。


内部はとんでもなく清潔で、町中に飛び交っている砂塵を全く感じさせないデザイン展示になっているが、正直、結構
高いレベルだと感じさせられたものの、現実との落差故に、これが手の届かない理想計画のようにも感じさせられた。

（それならそれで大歓迎なのだが･･･）


ちょっとポップなデザインも取り入れられていたり｡｡｡



町全体の計画模型地図。

その向こう側に有るモニターには、メリハリメリある声の男性による語りで、判りやすくタイトな解説映像が流れている。


コンピューターシュミレーション画面を使って、スクリーンに映し出される『未来の莎車』をドライブする事も可能だった。

･･･かけるお金の方向性、絶対間違っている気が。


莎車駅周辺の『城南新区』の計画模型地図。

駅だけは、現在既に完成している。


こまのブログでよく紹介している『回城』までもが、完全に手を加える対象とされているのにはショックを受けた。

塔克拉瑪干沙漠の西にある、戈壁平原に面する宏大な土地を有する町なので、都市開発は、現在有る駅周辺のように、
「新区」に於いて展開すれば済むことなのに、どうして旧市街もひっくるめて大改造しなければならないのだろうか。
漢民族同士の場合でさえ、様々は問題の発生は避けられないのは判っているはずなのに、
カザフ，キルギス，維吾爾族などの少数民族が95%以上住んでいるエリアにまで、その事業を推進してしまう点から、
やはり中国政府は、相当頭の弱い集団だと思ってしまう。

既存部分の町インフラや家屋の環境問題などが有ることは充分判るし、維吾爾の彼らも判っている事なのだが、
一方的で大雑把な展開に問題が有る。その地区の幹部は当然維吾爾人なのだが、彼らの行動が自由にならないよう、
中央政府は必ず手を回しているので、幹部が同族で有るにも係わらず、民族の宗教的習慣を生かした形での計画推進が、
なかなか提案できないと言った事実が有り、いつまで経っても少数民族は、その言動や行動の自由を認められていない
と言う結論に至ってしまうのだ。
中央政府は、自分たちの政策に支障が起きないよう、様々なる姑息な手段を裏に張り巡らせ、表面だけの「民族幹部」
を祭り上げているだけなのだから。


この展示館もその代表の一つなのだろう。



見た目には、広い中庭を優雅な感じで配置した自然と調和した建造物が、未来創造の美しさを提唱しているかの如く。


しかし、、、

この建物の造型が、一種の牢獄に見えてしまうのは、決して考え過ぎではないように思えるのだった･･･。

このような計画に使う金があるのなら、その分当地の実質的問題に回せば良いのに･･･と思ってしまう。
地球が裏返たとしても有り得ない事だが。